◆今回、静岡県のお寺のご住職から、「お寺の改修工事の際に出てきた欅の古材から御箸を作ってもらえないか」という御相談をうけました。
お話を聞くと30年ほど前から置いてあった欅の古い板材が数枚あり、これを使ってお寺の改修工事に関わった方々への御礼の品として御箸を作って渡したいという御依頼でした。
欅は木目の美しい木材で、大きな木目と木目の間に、細かい波状の木目『綾目模様』が入るのが特徴です。これをきれいに表現するには漆仕上げが最適で、今回は本漆を用いた『拭き漆仕上げ』で、男性用と女性用の計17膳を作りました。
納品後、お礼のご連絡をいただき、「渡した方がもったいなくて使えないとおっしゃっています。」という喜びの声を聴かせてもらいました。『欅の古材』に縁ある方々に喜んでいただけたのは、本当にうれしく思います。職人冥利に尽きる、ありがたい御依頼でした。